お前には俺がいる(恋→修)
昔から好きになるのは同性の人だった。
それに気が付いたのはいつだっただろうか。
「…っ、ひっ……ぅう…」
誰もいない放課後の屋上。
膝を抱えて蹲る。
(―――――今度、結婚するんだ…)
幸せそうに笑っていた。
成績は上の上だが、授業はサボる、喧嘩はするで問題児とされていた修兵に根気よくぶつかり続けた担任。
もちろん男。
最初は本当にウザイだけだった。
でも叱ってくれるのは、本気で心配してくれているんだと気が付いてから、段々と惹かれていった。
卒業したら、告白してみようか、なんて思えるほどに。
(―――――俺が初めて担任持ったクラスの子なんだけど)
もっと。
もっともっと早くに貴方に会っていれば良かったの?
(―――――ちょっとお前と似てて)
じゃあ何で俺は駄目なの?
(―――――愛してるんだ…)
聞きたくなかったよ、そんな言葉。
「…先輩」
ギィ、と錆びれた音を立てて屋上のドアが開かれる。
顔を見せたのは一つ下の後輩、阿散井恋次。
修兵の性癖を知っても傍に居てくれる。
「…今度っ、結婚する、んだってさ……」
「…………………」
「あ、愛してるって…俺にも、言って欲しかった、なぁ…っぅ」
「…………先輩」
自嘲気味に話す修兵。
口は笑ってるのに、目からはボロボロと流れていく涙。
気が付いたらその小さく震える体を抱きしめていた。
修兵は突き放すでもなく、恋次の背中に手を回し、肩に額を付ける。
「俺、もう恋しない…お前がいれば、いい…ひっく」
「先輩…泣かないで。俺がずっと居ますから」
恋次に依存してる修兵。でもちゃんと自覚して好きなのは恋次だけ。報われないねぇ。