「拳西、ちょっとええ?」
「あ?」

白とリサがそろって拳西に用事とは一体何事だと考えたが、予測ができないので(特に白が)素直に話を聞く。
その話を簡単に纏めると、女性死神協会で写真集を発売するので、その協力と許可をもらいに来たらしい。
確かに修兵はちまちまと小動物のようで可愛く、素直で癒される。
だが、それは九番隊の中だけでの話しだと思っていた拳西。

「その写真てのはいつ撮るんだ?今うちの隊は知ってのとおり瀞霊廷通信の編集で忙しいんだが…なぁ、白ぉ?」
「知ってるよ〜。でも白の分は大丈夫だもん!」
「そんなん承知の上や。撮影の許可さえもらえれば勝手に撮るから心配しんときゃあ」
「はぁ…勝手にしろ」
「じゃあ、これにサインして!」

ピラと出された紙には撮影許可書と書かれていた。
しぶしぶサイン欄にサインをする。
用は済んだと言わんばかりにさっさと出て行こうとする2人に釘だけさして置く。

「プライベートの盗撮はすんじゃねぇぞ」
「誰がするんや」
「お前らだ!」
「あたし等がそんなことするわけないやろ」

侵害だとはっきり否定するリサ。
隣で白も大きく頷いている。

「なら、いいんだけどよ…」
「任しときぃ。とびきり可愛く撮ったるわ」
「できたら拳西にも見せてあげるね!」









Heal me with a pretty smile!




―――――――などと、会話したのが約2ヶ月前。

その間、本当に好き勝手に撮っていたらしく、一度修兵から相談をされたことがあった。
最近変な音を頻繁に聞くが何か知らないか、と。
その時になって白とリサが修兵本人には何も話していないことを知った。
仕方ないので事の経緯と音の正体を教えると最初は怒っているようだったが、どうやら照れていただけで。
頭を撫でながらアルバムみたいでいいだろ、と言うと笑いながら頷いた。
…まぁその時に微かにシャッター音が聞こえたような気はした。
気のせいかと思っていたが、これを見るからには気のせいではなかったようだ。

「何で俺も写ってるんだ…」
「けんせーと一緒に写ってる!!」
「この写真は儂が張り込んでた時に撮ったものでの、どうじゃ?良い顔をしておるじゃろ!」
「流石は隠密機動やなー…」
「他は余計なもんが入っとってほとんど使い物にならなかったんや。威張れるものでもないわ。 拳西も写ってる入浴写真なんか誰も見たあないやろ」
「な、何ぃ!?いつの間に撮りやがった!!」
「この修ちゃんも、これも…全部可愛いね〜〜!!」
「写真ってすごいね!!」

現像した写真で、厳選したものを机の上に広げて更に絞っていく。
写真を見るのが初めてだという修兵は終始興奮気味だ。

「とりあえず、現世の服を着とる写真、それから日常生活の写真は決まりやな!おまけとか作りたいねんけど…」
「ん〜…ひよりん、ひよりん。これなんかどお?」

散らばる写真の中から一枚の写真を拾い、ひよ里に渡す。
白から受け取った写真は現世の有名(らしい)なキャラクターを真似た衣装を着た修兵だった。
これを入れたら流石に拳西が切れると思ったが、ちらっと見る限り、拳西はリサに入浴写真について問い詰めており、 こちらは一切見てないし気が付いてもない様子。
白には人差し指を口に当てて、喋らないで秘密にしておくようジェスチャーで伝える。

そうして出来上がったのが更に1ヵ月後。
約30ページと少々薄いが待望ということもあり、販売してからわずか1時間30分で完売した。
売上げは全て女性死神協会の今後の活動資金になるため、本人には一銭も渡らない。
その代わり、写真集を無料で一冊もらう約束だった。
完売となり隊舎に戻ってきた修兵が抱えていた写真集を休憩を兼ねて見させてもらう。

「…隊長、これ」
「分かってる。みなまで言うな…本人は気にしてねぇんだ」
「むしろ知らないんじゃ…」
「そっとしておくのが一番だ」
「……そうですか。ま、まぁ可愛いですしね…」

現世の服はほとんどが女物で、ヒラヒラのレースがふんだんに付いたゴスロリ、 所々破けていてチェーン等がじゃらじゃら付いているパンク、 尸魂界でも見れる浴衣(女物。帯は子供用で金魚の尾のような形に縛ってある)、 かなり際どい所までスリットが入った服(チャイナドレスとかいうらしい)、 現世での学生が着ている学ラン、ブレザー(どちらも伊達メガネを使用)、 猫耳と尻尾を付けただけの姿と、猫の着ぐるみ姿。
後は普段の自然な姿で、お昼寝中の寝顔、 ご飯中に拳西の手が頬に付いた弁当を取ってあげた直後の恥ずかしそうな嬉しそうな笑顔、 書類と睨めっこしている真面目な顔、 書類を運んでる最中に知ってる誰かに会ったときの笑顔、 演習中の姿などが載っていた。
後半は何だか本当に隠し撮りっぽかった。
写真を撮る際に、なんて言って着させたのかがかなりの疑問だったが、あえてそこには突っ込まないで最後のページまで捲る。
大体の写真の修兵の表情は九番隊では見慣れている(拳西の近くに常にいる為)もので普段と変わらず、本当にアルバムのようだった。
おまけで一枚、シークレットページがあった。
打ち合わせのときにはこんな話がなかったため、拳西は首を傾げる。

「何だ、シークレットページって…」
「開けてみますか?」
「おう、誰かハサミ持ってきてくれ」

点線に沿ってハサミで切り開くと、そこには色とりどりの花に囲まれ、うつ伏せになり上目遣いでカメラ目線の修兵が写っていた。
それだけならまだ良いが、問題は服装。
薄い虫のような透き通っている羽を背中にはやし、露出の多いワンピースを着ている。
正しく癒しの妖精(フェアリー)だった。

ひよ里の読み通り、切れた拳西はリサ達に抗議をしに行ったが、撮影許可書にサインをしてしまっている為、 返り討ちにされたことがあったなどというのは、知る人のみぞ知る後日談である。












珊瑚様 2700キリリク『小さな副隊長設定、仔修の写真集発売の騒動話』
こ、こんな感じですがよろしかったでしょうか?
珊瑚様のみお持ち帰り可、です。キリリクありがとうございました!!
設定がいまいち活かせてない…すみません。
余談ですが、リサは名古屋弁なんだそうですよ。
2009.05.01


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