流魂街で虚の襲撃を受けていた子供の一人に霊力を確認し、
四番隊にて検査の結果、将来隊長格の力を持つであろう潜在力があると判明。
このまま子供の能力を見過ごしてしまうのには周りの魂魄に影響がおよぶ問題がある故、
一時的に九番隊の下に保護児童として教育する許可を与える。
但し肉体的、精神的に回復し次第、霊術院に入学させることを前提とする―――――
小さな副隊長
偶々、虚の襲撃を受けていた流魂街の子供を保護し、霊術院に行かせたのは20年程前。
入隊は勿論九番隊で、あっという間に力をつけて今や三席。
だったのだが、執務の停滞具合に隊長の我慢が限界に達し、副隊長からも推薦が上がり、
この度晴れて九番隊副隊長となったのは、まだ子供だった。
「拳西、拳西」
ぱたぱたと足音軽く近寄ってくる気配を感じ、持っていた筆を置く。
執務室から顔を覗かせれば、己の元へ駆け寄ってくる小さな影。
「修兵。どうした?」
片手に乗せるように抱き上げるのはいつものこと。
拳西にとって(拳西に限ったことじゃないが)修兵は小さすぎるので、
見上げる方にも屈む方にも疲れない方法を取った結果だった。
「今日虚の討伐に出てる班があるでしょ。
さっき連絡があって、てこずってるみたいで、応援が欲しいって。
今、手が開いてるの俺だけなんだ。行ってきて良い?」
「あー…まぁ急ぎの用事もないしな。気を付けて行ってこい!」
「あい!行ってきます!」
降ろす前にぴょん、と飛び降りると来た時と同じように小走りで応援に向かう小さな後姿。
この時に自分も一緒に行けば何かが変わっていたのだろうか。
空は雨が今にも降り出しそうな曇天だった。
早く
早く
焦る気持ちを抑えて走る。
連絡を取ったのはちょっと休憩をしようとお茶を飲んでいた修兵だった。
討伐に行ったのは4人だったが、連絡からは虚が5体に巨大虚が2体。
報告書には虚が2体だったはず。
だから5席以下の4人を討伐に行かせたのだ。
早く
早く
早く!
その中の一人には、保護されていた時から何かと気にかけてもらっていた、
家族を持つ人がいる。
修兵と同じくらいの年の子供だそうで、何をしたら喜んでくれるだろうか、等相談もされたが、
逆にお菓子をくれたり、遊び相手になってくれたりもした。
そんな人を死なせたくない一心で、目的地へ急ぐ。
どうか。
どうか、4人とも無事でいて―――――…。
この時、まだ顔の傷はついてません。院生修兵を幼くし襟足を赤い髪紐で結んでる姿です。