Which are you careful with?
「ほらよ」
「うおっ!?」
阿近に呼び出され、何とか時間を作って向かうと、いきなり投げ渡されたソレ。
落としそうになりながらも受け取る。
「……何、これ?」
「爆弾」
「ばっ!!!??」
落とさないで受け取れて良かったと安堵し、爆弾をまじまじと見る。
黒く四角い輪が連なっていて先には留め具がついている。
一見現世にありそうなアクセサリーの類にしか見えない爆弾。
太さから見て手首かと思ったが、手首だと少し大きい。
「なぁ、これどう使うんだ?」
「ああ、説明がまだだったな」
吸い始めた煙草を口に銜え、爆弾を修兵から受け取る。
修兵が留めた留め具を外すと手を引っ張られた。
やはり手首なのか、と思っていると、ソレは手首を通り越して二の腕にはめられた。
ぴったりとサイズが一致しているところを見ると、まるで恋人のようだと思い少しだけげんなりする。
反対の腕にもパチンと音を立てて付けられた。
「俺の腕を吹き飛ばそうとか思ってるわけ…?」
「ばっか、んなことしたら俺が何されるかわかったもんじゃねぇよ。
それは携帯できる小型爆弾だ。一見爆弾に見えないようにデザイン考えるの大変だったんだ。
しかも、お前が付けてても違和感がないデザイン」
「俺作ってくれなんて言った覚えないけど、俺の為に阿近が作ったのか?」
「あん?だからそう言ってるだろ。使い方はだな、相手に投げつける前に少量の霊力を流してやれば約5秒後には、ボン、だ」
「へぇ…威力は?」
二の腕に付けられた爆弾をいじりながら尋ねる。
阿近は煙草の灰を灰皿に落とし、顎に手を当てた。
「そうだな……爆竹くらい、か?目くらまし程度には使えるが、相手にダメージはそれほど無い、くらいだ」
「ふーん。まぁ、ありがとな」
用は済んだと思い、修兵が踵を返すと阿近が引き止めた。
珍しさにきっと驚いた顔をしていただろうが、お構いなしに今度は首に冷たい感覚を感じ、背後でパチンと音がした。
触ってみれば、二の腕に付けている爆弾と同じ感触。
「ちょ、威力が弱くったって、流石に首は…あだっ!」
「分かってんだよ、そんなこと。だから首の方はただの飾りだ」
慌てて阿近に抗議をしようとすると頭を叩かれた。
そしてただの飾りと言われてほっと息を吐く。
そして今度こそ戻ろうと戸に手をかけたところで振り返る。
「ありがと!大事にするな!」
極親しい人にしか見せない、きらきらした笑顔で礼を言って出て行く修兵。
短くなった煙草を灰皿に押し潰して火を消す。
そして修兵が出て行った戸を見ながら一言。
「……どっちをだ?」
38巻表紙おめでとう記念!!首のは流石に爆弾じゃないと思う…。
飾りを大事にするのか、爆弾を大事にするのか、ふと疑問に思った阿近なのでした〜(今日のワ●コ風)